TRPG性について
この記事は TRPG なんでも Advent Calendar 2018 21日目のエントリーです。前日担当はkuroa1016さんで、“『ソードワールドを遊びつくそう!』を設立した話”でした。
この記事は、私がTRPGのシナリオを作るうえで考えるようになったTRPG性についてのエッセイです。 私が感じたことをつらつらと書き下しているだけなので、結論と呼べるものはないです。その点はご容赦ください。
Who am I?
このエッセイは非常に主観的な文章なので、ざっと私の属性について列挙します。
- 酒田 シンジ
- 大学院生、来年から社会人
- コンピューターサイエンスを専攻
- TRPG歴
- 2015年5月ごろから
- そろそろ4年
- 最近の例に漏れずニコニコ動画のリプレイから入ったクチ
- 最も遊んでいるシステム
- クトゥルフ神話TRPG
- そのほかシステム
- シノビガミ
- ソード・ワールド 2.0
- ログ・ホライズンTRPG
- 卓
- 基本、身内の卓でしか遊んでない
- オンラインではボイセ
- 年末年始、お盆などのまとまった休みに集中してオフセ
- 卓では2015年7月から現在(2018年12月)にかけて86回のセッションが行われた
- その内、私の参加回数52、GM回数24
- プログラミングとかが好き
- 作ったもの
- Saider
- BCDiceAPI
- Saibox
- 大学院生、来年から社会人
TRPG性
TRPGセッションの目標は「楽しむこと」そして「楽しませること」です。 GMをしたり、シナリオを作っていると常々「どうやったらPLを楽しませることができるのか」と考えてしまいます。 人には個性があって、TRPGのどんなところを楽しんでいるか、そして楽しくない事は何なのかはそれぞれ違うはずです。 この個々が持っているTRPGに対する感性のことをTRPG性と私は呼んでいます。
TRPG性を持っているのは人だけではありません。 システムとシナリオにもTRPG性があります。 例えば、クトゥルフ神話TRPGとソード・ワールドではシステムのコンセプトが違います。 ソード・ワールドのシナリオに注目しても、一般的なシナリオとダンジョンアタックとでは毛色が全く異なります。 このように、システムとシナリオは作者らによって、TRPGのどんな側面を楽しんでほしいのかというコンセプトが定められているのです。
セッション参加者の個性と、諸々のコンセプトが噛み合った時、つまり
- システムのTRPG性
- シナリオのTRPG性
- GMのTRPG性
- PLのTRPG性
が噛み合うと素晴らしいセッションになるのだろうと私は考えています。 逆に乖離が激しいと、いともたやすく退屈な遊びになってしまいます。
TRPG性の例
ではTRPG性にはどんなものがあるのでしょうか。 まず単純なのはプレイ環境でしょう。 列挙すると以下のようになります。
- オフライン
- オンライン
- テキスト
- ボイス
私はオフライン派です。 オンラインだったらボイスですね。 そう感じる理由は、やりとりのディレイが無いからです。 テキストだと入力するスピードは人それぞれですし、メッセージがすれ違いになることが多々あります。 声で伝えれば、誰が発言しているのか、発言しようとしているのかすぐわかります。 ボイスチャットはその点をクリアしているのですが、通信速度の壁によるラグが気になってしまいますね。
では肝心の感性の方はどうでしょうか。 私の思いつく限り、人がTRPGに求めていそうなことを列挙してみます。
- ストーリー
- ロールプレイ
- 謎解き
- 有名キャラクターなりきり/再現キャラ
- 茶番
- 創作活動
- 即興劇
- 世界観
- 自己表現
- 創作として
- 原作好き
- ゲーム性
- 戦闘
- プレイヤー間の交流として
- ミニチュア/模型
- フェチ
私のTPRG性はストーリーとロールプレイ方向ですね。 私が最も遊んでいるクトゥルフ神話TRPGは、この方向性がマッチしていると思っています。 例えばシノビガミであれば、シーンの演出がPLに委ねられているため、ロールプレイが非常にしやすくなっています。 その代わり、GMが演出できるストーリーは簡便なものになりがちですし、シーン演出だけでは練り込まれたストーリーは生まれづらくなっています。 ソード・ワールドやログ・ホライズンTRPGは戦闘のゲーム性が非常に高く、その点は楽しいのですがロールプレイやストーリー演出の機会は少なくなっています。
上に挙げた物の中で異彩を放っているのは「フェチ」でしょうか。 私が(おそらく)初めて遊んだTRPGのシステムがCute Sister TRPGなのですが、このシステムのTRPG性がそんな感じでした。 GMが男性キャラ、PLが女性キャラを操作して、男性キャラの心を射抜くという内容で、「義妹×義兄」のラブコメディが主題らしいです。 さらに発展した遊び方として、百合にしたりBLにしたりキャラの年齢を決めたりと、まさにフェチに特化することができます。 この時はGMとして男キャラを演じました。 この時のPLは腐男子が多かったらしく、後にBLセッションに誘われたのですが、気が乗らなかったので断りました。
他に私が驚いたのはミニチュアという方向性です。 模型でフィールドを作り出し、そこに各々が作ったミニチュアを配置して遊ぶという大掛かりなものです。 言葉では定義しきれない曖昧な状況を、より厳密に表現し、そして見栄えのする遊び方ができます。 ミニチュアを用意するところからすでに楽しみが始まっているのでしょう。 ここまでくるともはやウォーゲームの域に達していますね。
私が特に注目したいのは創作活動としての側面です。 12/12に寄稿された「TRPGという遊びについて」では創作としてのTRPGについて言及されています。 TRPGでは、参加者のコミュニケーションと自由な発想、そして裁量によってセッションが形成されます。 シナリオから外れ、思いがけないストーリーが語られることも時にあります。 これは少なからず創作をしているのに他ならず、この行為に対してどのように感じるのかは大きく分かれるように思えます。
楽しく遊びために
TRPGをするからには、楽しく遊びたいものです。 前述したように、システム、シナリオ、GM、PLのTRPG性が合致すると楽しく遊ぶことができると、私は考えています。 では合致させるにはどうしたら良いのでしょうか?
一つはTRPG性の合う人やシナリオ、システムを探すということでしょう。 オンラインで人を募集するのであれば、募集文に趣向について少し詳しく書けば、ビビビっとキた人がくるかもしれません。 それで波長が合えば、また誘えばいいでしょう。 もう一つ重要なのは、TRPG性が合わなかったら無理に遊ばないということでしょう。 なにも険悪になる必要まではありませんが、合わない人とはいくらやっても合わないでしょう。
次にできることとしては、自分の望むシナリオを作るということでしょうか。 そういうシナリオをセッションで披露すれば、参加者も好みを把握してくれて、あなた好みのシナリオを回してくれるかもしれません。
さらに踏み込むなら、PLに合わせてシナリオを作ったりマスタリングすることでしょうか。 なんども卓を囲んだり、もしくは直接ヒヤリングすれば相手のTRPG性を把握することができます。 把握した内容に応じて、振る舞えば相手を楽しませることができるでしょう。 これはGMに限らずPLでも有効です。 GMの演出したいことに乗っかれば、マスタリングにも勢いが付き、より楽しくなるのではないでしょうか。
おわりに
TRPG性と、そこから発展して楽しく遊ぶためにできそうなことを語ってみました。 ここまで脳内を整理してみると、身内卓がそこそこ続いてるのは結構な幸運だなと実感します。 私はの現状は「自分の望むシナリオを作る」というフェーズなのですが、これがなかなか難しいですね。 2作ほど作って、まだ足りてないです。 いつ、PLに合わせたシナリオ作りへとランクアップできるのでしょうか。
このエッセイで皆様が些細ことでも気づきが得られれば幸いです。